聖者ひじり)” の例文
悪人も聖者ひじりも尼もみなどこか滑稽で、しかもあわれな者、みな自分らとひとしい人間たちとして、彼らは演じているのだった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一つは枯れて土となり、一つは若葉え花咲きて、百年ももとせたたぬ間に野は菫の野となりぬ。この比喩ひゆを教えて国民の心のひろからんことを祈りし聖者ひじりおわしける。
詩想 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
男の聖者ひじりが多く女の聖者ひじり渇仰かつがうするに対して、女の聖者ひじりは大抵男の聖者ひじり帰依きえをする。ロヨラは聖母マリヤの信仰家であつたが、婦人の多くはナザレの耶蘇ヤソと精神的結婚を遂げてゐるのだ。
何千年のむかしの聖者ひじりの声を、今まざまざとこの耳で聞くことのできた機縁に、感謝の涙があふれてきた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
されどその民の土やせて石多く風つよく水少なかりしかば、聖者ひじりがまきしこの言葉ことのは生育そだつに由なく、花も咲かず実も結び得で枯れうせたり。しかしてその国は荒野あれのと変わりつ。
詩想 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)