耐忍たいにん)” の例文
衆奉じて以て主と爲すべきものなく、或はさんじて四方にき、或は上野うへのる。若し公をして耐忍たいにんの力無く、共にいかつて事を擧げしめば、則ち府下悉く焦土せうどと爲らん。
決して女子は勇気なくともよいというのではないが、女子の強きところは耐忍たいにんにありとせば、男子の特長は猛進的もうしんてきなる奮闘ふんとうの力にある。このことを論ずるには多言たげんを要せぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
しかして基督教はこの耐忍たいにんを我れに与うるにおいて無上の力を有するものなり。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
妻の手前ながら定めて断腸だんちょうの思いなりしならんに、日頃耐忍たいにん強き人なりければ、この上はもはや詮方せんかたなし、自分は死せる心算しんさんにて郷里に帰り、田夫野人でんぷやじんして一生を終うるの覚悟をなさん。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
いわゆる強さの形が変化するというは、かつの字について前の「説文せつもん」にいえるがごとく、重荷をになうて堪えること、すなわち辛苦艱難しんくかんなんに堪える、耐忍たいにんの力あることをもってその強さが計られる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)