ふけ)” の例文
豪勢な出世もしたかわりに、これからが寂しいでしょうね、肩の荷のなくなった時分にゃ、もうふけ込んでしまいますからね
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
素面しらふで居る時は、からもう元気の無い人で、言葉もすくなく、病人のやうに見える。五十の上を一つか二つも越したらうか、年の割合にはふけたといふでも無く、まだ髪は黒かつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
年頃は三十をなかばほどとは考えさせるが、つくろわねど、この美貌きりょうゆえ若くも見えるのかも知れない。といって、その実はふけさせて見せているかも知れない。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)