義仲寺ぎちゅうじ)” の例文
その草庵のあった所は、後世まで菩提ぼだいはらと呼ばれ、尼となった巴は、義仲の供養に生涯をささげ、年々の命日には近江の義仲寺ぎちゅうじにお詣りした。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから車で大津に帰り、小蒸汽で石山に往って、水際みぎわの宿でひがいしじみの馳走になり、相乗車で義仲寺ぎちゅうじに立寄って宿に帰った。秋雨あきさめの降ったり止んだり淋しい日であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
十一月二十一日 大津義仲寺ぎちゅうじ無名庵に於ける芭蕉忌法要。膳所ぜぜ小学校に於ける俳句大会。
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
お辰を女房にもってから奈良へでも京へでも連立つれだって行きゃれ、おれも昔は脇差わきざしこのみをして、媼も鏡を懐中してあるいたころ、一世一代の贅沢ぜいたく義仲寺ぎちゅうじをかけて六条様参り一所いっしょにしたが
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
義仲寺ぎちゅうじ乙州おとくにつれて夏花摘げばなつみ
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
晩年の巴が、義仲の命日には、年ごとに近江の義仲寺ぎちゅうじへ詣でたという地方伝説は、無邪気な牽強付会けんきょうふかいというものである。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
義仲寺ぎちゅうじの鐘であろう、大きく八刻やつを打った。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)