纍々るいるい)” の例文
「鳥あり、鳥あり、丁令威。家を去る千年、今始めて帰る。城廓もとの如くにして、人民非なり。なんぞ仙を学ばざるか、塚纍々るいるいたり」
ひどくいきの悪い黄色い顔になったのを、纍々るいるいと重ねて突き出していて、そうなると一種の壮観で何やら凄絶な感じであった。
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
「東門に人有り。そのひたいは堯に似、そのうなじは皐陶に類し、その肩は子産に類す。しかれども腰より以下は禹に及ばざること三寸。纍々るいるいとして喪家そうかいぬごとし。」
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
ここは、切立きったてというほどではないが、巌組いわぐみのみちけわしく、砕いた薬研やげんの底をあがる、れた滝のあとに似て、草土手の小高い処で、纍々るいるいと墓が並び、傾き、また倒れたのがある。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
確かに私の所有する牛には違いないが、先方では所有主を見知るまいから、すこぶる危険だ。立停り、様子をうかがって、うまくやり過ごす。暫く進むと、纍々るいるいたる熔岩の崖に出くわす。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
苔で滑りやすい石畳路が紆余曲折うよきょくせつして続く。室の跡らしいもの、井戸の形をしたものなどが、密生した羊歯しだ類の間に見え隠れする。塁壁の崩れか、所々に纍々るいるいたる石塊の山が積まれている。