細螺きしゃご)” の例文
ただし遣方が仇気あどけないから、まだ覗いているくだんの長屋窓の女房かみさんの目では、おやおや細螺きしゃごか、まりか、もしそれ堅豆かたまめだ、と思った、が、そうでない。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あおく晴れて地の上に雨の余波なごりある時は、路なる砂利うつくしく、いろいろのこいしあまた洗いいださるるが中に、金色こんじきなる、また銀色ぎんしょくなる、緑なる、樺色かばいろなる、鳶色とびいろなる、細螺きしゃごおびただし。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
子産石こうみいしと申しまして、小さなのは細螺きしゃご碁石ごいしぐらい、頃あいの御供餅おそなえほどのから、大きなのになりますと、一人では持切れませぬようなのまで、こっとり円い、ちっと、平扁味ひらたみのあります石が
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)