素裸すはだ)” の例文
炎のからんだように腰の布がくれないに裂けて、素裸すはだであろう、黒髪ばかりみののごとく乱れた、むくろをのせた、きしり、わだちとどろき、磽确こうかくたる石径を舞上って
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
封金の封紙が洗い流されてしまっているので、おびただしい山吹色の黄金が、素裸すはだで水にがれているのだった。
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と長いのを振上げている、此の中へ素裸すはだで、花車重吉が飛込むというところ、一寸一ト息吐きまして。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
こうがいを質に入れたなどと話していると、はるかに東のかたよりむら立つ雲もなく、虚空こくうを渡るがごとく、車の駆来る音して、しばらくの間に目前まのあたりへ近づいたのを見ると、あら、可恐おそろし、素裸すはだ荒漢あらおとこ、三人
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)