素縄すなわ)” の例文
河原に坐って、岩のかどで、身のいましめをこすった。それは郷士らが路傍で拾ったわら素縄すなわにすぎなかったので、忽ちぷっとり切れた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちゃくわと二方をしきった畑の一部を無遠慮に踏み固めて、棕櫚縄しゅろなわ素縄すなわ丸太まるたをからげ組み立てた十数間の高櫓たかやぐらに人は居なかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
すぐ二人の若党が、下屋しもやからくわを持って来て、柿の根廻りを掘りおこし、素縄すなわからげに根を巻きおえたが、しかし「……なんのために?」と、みないぶかしげな顔をしていた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ウム、そこが打揚場うちあげばか。幕のかわりに素縄すなわを張ったな」
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)