素破すつぱ)” の例文
意外とんだ事を素破すつぱ拔かれた藝妓が、對手が新聞記者だけに、弱つて了つて、援助を朋輩に求めてるのもあれば、反對に藝妓から素破すつぱ拔かれて頭を掻く人もある。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「聽かなくたつて解つてゐるよ。良助が藤兵衞の遺書かきおきを隱したのを、太吉に素破すつぱ拔かれた上、日頃仲が惡いから、太吉を殺したに相違ないと言ふんだらう」
晩飯のとき素破すつぱぬいたG——も、小言を言つたI子も、寿美子のためにビールをぬくことに一致した。寿美子は食卓の一角に坐つて、そつと煙草を喫しながら、時々コツプを手にしてゐた。
彷徨へる (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
をとこだから、いまでは逸事いつじしようしてもいから一寸ちよつと素破すつぱぬくが、柳橋やなぎばしか、何處どこかの、おたまとか藝妓げいしや岡惚をかぼれをして、かねがないから、岡惚をかぼれだけで、夢中むちうつて、番傘ばんがさをまはしながら、あめれて
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「そのくせ、時々は安い遊びにも行くやうで、——金之助が素破すつぱ拔いてゐました」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)