紅隈べにくま)” の例文
団十郎の定光が、あの怪奇グロテスク紅隈べにくまと同じ怪奇の扮装で、長刀ながもの佩いてヌタクリ出で、さて大見得を切った後
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
また図中人物が筋肉の緊張を示さんとしてその四肢の線に紅隈べにくまを施したるも春章の創意する所なりといふ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
八五郎はゾッとして枕をそばだてました。紛れもありません。仏壇の中、位牌いはいの前に現われたのは、青黒い地に紅隈べにくまを取って、金色の眼を光らせた、鬼女の顔なのです。
扮粧つくりをいたします際に、面を彩る種々の線に過ぎないのでございますが、色彩の点から申しても、紅隈べにくま藍隈あいくま墨隈すみくまというように色々ございますし、形から申しましても、筋隈、剥身、火焔隈
京鹿子娘道成寺 (新字新仮名) / 酒井嘉七(著)
はやもひるから忠信ただのぶ紅隈べにくまとつたしやつつら
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
八五郎はゾツとして枕をそばだてました。まぎれもありません、佛壇の中、位牌ゐはいの前に現はれたのは、青黒い地に紅隈べにくまを取つて、金色の眼を光らせた、鬼女きぢよの顏なのです。