糶出せりだ)” の例文
ここに照る月、輝く日は、げた金銀の雲に乗った、土御門家つちみかどけ一流易道、と真赤まっかに目立った看板の路地から糶出せりだした、そればかり。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もうおたねとまっては隠すことは出来ない。あれは内から膨れて漸々だん/\前の方へ糶出せりだして来るから仕様がない。何うも変だ、様子がおかしいと注意をいたして居ました。
あの、大博覧会の出品ね——県庁から、この錺職かざりやへお声がかりがある位ですもの。美術家の何とか閣が檜舞台ひのきぶたい糶出せりださないはずはないことよ。
胸へばかり込上げる——その胸を一寸ずつ戸擦れに土間へ向けて斜違はすかいに糶出せりだすんですがね、どうして、つかまった手は、段々堅く板戸へ喰入るばかりになって、てこでも足が動きません。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どうだ、色男が糶出せりだしたように見えるか。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)