粮米ろうまい)” の例文
……で、米価はね上がり、大坂城の粮米ろうまいは欠乏を極めておりますため、これに米を密売すれば、莫大ばくだいな利をえられるにきまっている。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それで、相談するのだが、お前らは、どう思うか、わしの意見では、粮米ろうまいも残りすくなになったし、船もこんな壊れかただ。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
さればです。ここに萎縮いしゅくし、とぼしき粮米ろうまいを喰い細らせてあるよりは、むしろ堂々、正攻法を取って、海津の城お取詰あそばし、諸道の敵の散軍を
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十二人は正体もなく寝框ねかまちにころがっていたが、どうやら命の瀬戸を切りぬけたようすなので、誰も彼も生きかえったような心持になり、粮米ろうまいを出してまずえをふさぐ仕事にとりかかった。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ここへ粮米ろうまいを入れるなり、或いは、備中びっちゅうから山野を越えて、急援に迫り、城兵と協力して、寄手の鉄環てっかんを粉砕し、羽柴筑前守秀吉なるものの名へ
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しかも、平家追討の折には、河内より兵を引っげられ、摂津せっつでは、軍船や粮米ろうまいを奉行せられ、勲功もあるお人」
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ありますとも。冀州は富饒ふじょうの地で、粮米ろうまいといわず金銀五穀の豊富な地です。よろしく、この国土を奪取して、将来の地盤となさるべきではありますまいか」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後方の占領圏内には、まっさきに潰滅した曹操の輜重隊が、諸所に、莫大な粮米ろうまいや軍需品を置き捨ててある。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、吉川元春が、そこの味方へ、粮米ろうまいを積んでは、海上から輸送するみちのあることを知って、沿海洋上に、船隊を配備して、それをも完全に封鎖してしまった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
各〻も、昼夜、戦のほかに他念なく、疲れもしつらん。旁〻かたがたきょうは祝うべく楽しむべき日だ。粮米ろうまいすらに事欠く中、何もないが一さんみ交わそうぞ。さあ、くつろいで杯を挙げよ
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
粮米ろうまい空俵あきだわらや、まきなどが積んである雑然たる中に、又左衛門はどっかり腰をおろして
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
周瑜しゅうゆが軍令きびしきため、軽率にうごき難く、ひたすら好機を相待つうち、時節到来、先頃より鄱陽湖はようこに貯蔵の粮米ろうまいそのほかおびただしき軍需の物を、江岸の前線に廻送のことあり
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬の背には雑穀や青物、牛車には粮米ろうまいのかますなど、山のように積んでいる。いうまでもなく甲軍の荷駄隊だ。近郷から徴発して来たものを前線の兵站部へいたんぶへ輸送してゆく途中らしい。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
公孫瓚はそこに粮米ろうまい三十万石と大兵とを貯え、以後、数度の戦にも、まず一応強国の面目をたもっていたが、或る折、味方の一部隊を、敵のなかに捨てごろしにしたことから、彼の信望はうすれ
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
爺が御被官ごひかんの眼をぬすんで蓄えておいた粮米ろうまいや金銭がござりますぞ。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)