簾裡れんり)” の例文
玉座の簾裡れんり、大衆のさとる気づかいはないから、しばらくは、“身代り天皇”を以て——という、お考えに出たものらしい。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゴオテイエが娘の支那シナは既に云ひぬ。José Maria de Heredia が日本もまた別乾坤べつけんこんなり。簾裡れんりの美人琵琶びはたんじて鉄衣の勇士のきたるを待つ。景情もとより日本ならざるに非ず。
十四初めてまゆを描き、十五すでに簾裡れんりもすそを曳く——と、玉の輿こしを羨まれた彼女も、ことし二十三、はやくも両の乳に三児を抱いて、住むに家もなく、大悲の御廂みひさしにこの寒空の夜をしのごうとは
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)