ぼうき)” の例文
「嘉助、二人して水掃ぐべな。」と言ってしゅろぼうきをもって来て水を窓の下のあなへはき寄せていました。
風の又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それが済んだ後を掃くのは座敷ぼうきです。柔かでないと隅々まで綺麗きれいにならぬといわれるのでした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
初めの中は立って歩けず、座敷ぼうきにすがって便所通いをしていたのに、少しずつおさまって来て、箒なしでもよろめきながら歩けるようになった。しかし回復は早い方とは言えなかった。
狂い凧 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
なにかどなりながら竹ぼうきをかついで子供をおっかけてきた腰巻一つの内儀かみさんや、ふんどしひとつのすねをたたきながら、ひさし下のしおたれた朝顔のつるをなおしているおやじさんや
白い道 (新字新仮名) / 徳永直(著)
叩いてみると軽いすか/\の音がして七五三縄を張るほどの神秘性もなく、寺の本堂の屋根の辺よりも高い空中から急に枝葉を密生さした、さゝくれた古ぼうきのような形でやゝ南方に傾いています。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)