立起たちあが)” の例文
「然うですね、澤山たんとのことは可けませんが……」とシブ/\立起たちあがツて店に下りて來た。額を手に取ツた。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
お通はうかうかと立起たちあがりて、一歩を進め、二歩をき、椽側にで、庭に下り、開け忘れたりし裏の非常口よりふらふらと立出でて、いずこともなく歩み去りぬ。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やうやく唯継の立起たちあがれば、宮は外套がいとうを着せ掛けて、不取敢とりあへず彼に握手を求めぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それこそ空々寂々くう/\じやく/\で、不圖ふと立起たちあがツて、急に何か思出したやうに慌しく書棚を覗き𢌞る。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
周三は眼色を變へて、立起たちあがツたかと思ふと、突如いきなりピツシヤリ障子を閉めきツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)