立行たちゆ)” の例文
されど、とにもかくにも此のまま過ぎ行くは、死ぬべき道に立行たちゆくにて、立帰る期のあらざるを、いかでかその術を行いてよ。
玉取物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
神保町辺へ用達ようたしにおいでなさいましたお帰りがけ、ご散歩かたがた、「どうだい、新店は立行たちゆくかい。」と最初のっけから掛構かけかまいなくおっしゃって。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
畢竟ひっきょう人の罪でない、時の気風のしからしむる所、腐敗の極度だ、こんな政府の立行たちゆこうはずはないとおもったことがある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
窮迫きゆうはく窮迫きゆうはくを重ね、ちび/\した借金もつもりて今は何としても立行たちゆかぬさまとなつた。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それでも前のごとくにモンゴリヤから金が沢山来ますれば、それは随分通商を遮断しゃだんしても立行たちゆかんこともありますまいけれども、今いう通りもうこの金の来る見込みはほとんどなくなってしまった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
不憫ふびんと思召して百両返して下さらぬでは友之助は立行たちゆきませんから
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
田舎を打棄うっちゃって、こんな処へ来て暮そうって人なんだから、人はいけれども商売は立行たちゆかないで、照吉さんには、あの、重荷に小附こづけとかですってさ。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
主人の家の立行たちゆくように致したいものでございます