窮策きゅうさく)” の例文
彼は困却の余りふと思いついた窮策きゅうさくとして、須永すながの助力でも借りに行こうかと考えた。しかし時計はもう四時七分前にせまっていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
折角の保護建造物が皆ガタ/\に狂ってしまうぜ。そこで骨董こっとう大切だいじ窮策きゅうさくがあんな妙な悲鳴を挙げているのさ。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
むりに追い求めれば、死なずともよい両女ふたりをかえって死なすかもしれん。その生命いのちを断って山中に捨て、身をもって国外に逃げるなどという窮策きゅうさくに出るおそれは多分にある。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが余り突然だったので、適当な後任を物色する余裕がなかったからの窮策きゅうさくであろう。
毛利先生 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
学校の規則を知らないでこしらえた赤靴を規則通りに黒くしたのだという説明を聞いた時、彼はまた叔父の窮策きゅうさく滑稽こっけい的に批判したくなった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いや、これは親孝行さ。おれの頭が白くなると、お父さんお母さんは自分達の年の寄ったのを痛切に感じる。そこでいつまでも黒く見せて置く。親を老込ませないようにという苦心の窮策きゅうさくさ」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
とまたまた窮策きゅうさくだった。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)