突抜つきぬ)” の例文
背後うしろ突抜つきぬけの岸で、ここにもつちと一面な水があおく澄んで、ひたひたと小波ささなみうねりが絶えず間近まぢこう来る。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かまふものか このまゝ発射はつしやして屋根やね突抜つきぬいてしまふんだ
あなたののきならび三軒目——さよう、さよう、さよう、それ、前夜、あなたが道を違えて、捜したとお話しのじゃ。唯今の自動車屋が、裏へ突抜つきぬけにその娘の家でありますわ。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
およそ十人ぐらいは一側ひとかわに並んで通ることの出来る、広い土間が、おも屋まで突抜つきぬけていると言うのですが、その土間と、いま申した我家の階子段とは、暗い壁一重ひとえになっていました。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)