神楽囃子かぐらばやし)” の例文
ヒュウー、ヒャラリ……と横笛や大鼓おおかわの音につれて、長閑のどかにもまた悠長な太鼓や鈴の交響楽——お神楽囃子かぐらばやしが聞こえます。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
結局、彼は、神楽囃子かぐらばやし律調しらべを頭に描きながら、木の葉をくちに当て、しきりと妙な音を吹きたてて道の遠さを忘れて来たが、やがて法典ヶ原の近くまで来たかと思う頃
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで節面白く神楽囃子かぐらばやしをやっているのが、この深夜といい、平野の場所がらといい、何とも怪異で、あるいは、静夜の星光に浮かれて遊ぶ変化へんげの群かとも見えたのです——
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのとき、あなた——今宮いまみや舞楽殿ぶがくでんでは、ふえ太鼓たいこ、そしてすずがゆるぎだした。やすらいおどりのどよめきにあわせて、神楽囃子かぐらばやしがはじまったのであろう。——悪魔あくまたいじの御神楽歌みかぐらうた
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「のん気というなあ、おめえ達の事だ。いつもヒャラリコドンツク、百姓の合間に、神楽囃子かぐらばやしをやッていれば、すぐ五十年の年貢ねんぐ納めが済んでしまう。おら、ここへ来ると、おめえたちが羨ましいな」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「遠くの方で、神楽囃子かぐらばやしが聞えませんか——遠くの方で」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)