祝歌ほぎうた)” の例文
つどいあつまった諸国の騎士、音楽家の人々や祝歌ほぎうたを歌おうと召し寄せられた小供等の視線は、まじろぎもせずに若様の一身に注がれました。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
延年舞えんねんまいの似セ舞らしい。——ふるえをおびた祝歌ほぎうたの歌詞が、とぎれとぎれ、高氏の耳へ流れこむ。いま、彼の感情で聞けば、怒濤の響きをなして迫ってくる。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ラヂオの我が祝歌ほぎうたはいち早し子らが歌ふこゑのひびきここに
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
何も知らない輿入れの列につづく人々は、また一しきり祝歌ほぎうたうたいはやしながら、やがて御所之内の唐橋からはしから花嫁の輿は揺りすすめられた。濠の水もまっ赤なほど、おびただしい松明たいまつはそこを渡った。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ラヂオの我が祝歌ほぎうたはいち早し子らが歌ふこゑのひびきここに
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ひとしきり広間はしんとしていた。花嫁の立つ式事がおごそかに執り行われた。それがすむと、にわかに大勢の笑い声や、手拍子や、祝歌ほぎうたなどが聞え、花嫁は、一門の縁者達に取りかこまれて輿こしへ移った。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)