礼物れいもつ)” の例文
旧字:禮物
いいえ、左様ではございません、お礼物れいもつなどは決してお受けになりませんでした、ただ人の気を休めるために筮竹を取るのだとおっしゃいました。
「おまえらがここへ帰り住むようになったらば、おれに出口を教えてくれ、礼物れいもつなどは貰うに及ばない。ただこの娘たちを救って出られればいいのだ」
「いや、わしは、礼物れいもつを、あてにしているわけではない——ゆきがかりゆえ、面倒見てやろうと思うばかり——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
杯のすんだ後のお今は、黒紋附を着た室と並んで、結納や礼物れいもつなどの飾られた床の前の方に坐っていた。松に鶴をかいたついの幅がそこにかけられてあった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
チベット文法の問答 そこでその人の所へ参り相当の礼物れいもつを差し上げてそれから来意を告げますと、あなたは文法あるいは修辞学をやったことがあるかという。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
あきないがしたいと思うなら、ここから近い南蛮寺なんばんじへ、さきに礼物れいもつを持ってこい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陸は礼物れいもつしりぞけて結って遣り、流行はやりの飾をさえ贈った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ところで私はそういう人間から決して礼物れいもつを取らない。大抵は薬も施してやる。療治も施してやる。向うからしいて品物の礼でも持って来れば請け取ってもやるが大抵は取らない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
黒太夫も大層よろこんで手厚い礼物れいもつを贈ると、祐慶は辞退して何にも受取らない。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それらを見に行くと沢山な礼物れいもつの上にいろいろ珍しい喰物をくれるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)