破寺やれでら)” の例文
……どうも、気の毒なことをした。こんな破寺やれでらのようなところで、こんな姿態ざまで殺されたんでは利七だって浮ばれない。
なんでこんな田舎の破寺やれでら示現じげんなされましょうぞ。おかみではただいま白蓮教びゃくれんきょうをきびしく禁じていられます。
御僧はどこへ行くつもりで、ここへこられたのか。この寺はわけあってこんなに荒れ果て、人もすまぬ野原同然の破寺やれでらとなったので、一粒の食糧もなく、一夜の宿を
一旦いったん破寺やれでら——西明寺はその一頃は無住であった——その庫裡くりに引取って、炉に焚火たきびをして、弁当を使ったあとで、出直して、降積った雪の森に襲い入ると、段々に奥深く
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
草深い山里の破寺やれでらでなにも知らさずに朽ちさせてしまうという約束で、その子をお沢にたまわった。
顎十郎捕物帳:01 捨公方 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)