瞑々めいめい)” の例文
無情な天は、そこからあがる黒煙に、陽を潜め、月を隠し、ただ暗々あんあん瞑々めいめい、地上を酸鼻さんびにまかせているのみであった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
地方人に蹂躙じゅうりんせられた、本来江戸児とは比較にもならない頓馬とんまな地方人などに、江戸を奪われたという敵愾心てきがいしんが、江戸ッ子の考えに瞑々めいめいうちにあったので
江戸か東京か (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
はじめは双六すごろくの絵を敷いた如く、城が見え、町が見え、ぼうとかすんで村里むらざとも見えた。やがて渾沌こんとん瞑々めいめいとして風の鳴るのを聞くと、はてしも知らぬ渺々びょうびょうたる海の上をけるのである。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
振返れば、天地すべて瞑々めいめいだ。つづいて来る一兵だにない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)