眼底がんてい)” の例文
姿を揃えて地にひざまずきかけると、工匠は、その浅黒い面と眼底がんていに潜むどこか不敵なものを、しきりに山上へも振り向けながら。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういわれた瞬間、私の眼底がんていには、どういうものか、あのムチムチとした蠱惑こわくにみちたチェリーの肢体したいが、ありありと浮び上ったことだった。
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
中にまじっていた卜斎ぼくさいは、そういぶかしく思ったが、それをあやしむ彼自身じしんが、すでにみょう錯覚さっかくにとらわれて、疑心暗鬼ぎしんあんき眼底がんていにかくしていたことを知らなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私の眼底がんていにはその号外の上に組まれた初号活字しょごうかつじがアリアリと見えるようだ。——そのとき私は耳許みみもとに、魂をゆするような熱い息づかいが近よってくるのを感じたのだった。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「どうも、そうだろうと思っていました。物腰やら、あの眼底がんてい
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そりゃいかん。大熱にきまっている。眼底がんていが赤い」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)