相顧あいかえり)” の例文
その者も軽く「ア。あぶない」といって金蓮の体をささえ、そして、相顧あいかえりみてわけもなくニッと笑いあった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(第一の見慣れぬ旅人、第二の見慣れぬ旅人、相顧あいかえりみて沙原を歩いて、地平線を望んで行く、日は既に奈落ならくに沈んで、ただ淋しげに紅く微笑む黄昏たそがれの空の色。)
日没の幻影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
竹間ちくかん梅棕ばいそう森然しんぜんとして鬼魅きび離立笑髩りりつしょうひんじょうのごとし。二三子相顧あいかえりみ、はく動いていぬるを得ず。遅明ちめい皆去る
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大目付の出張——三斎、駿河守相顧あいかえりみて顔いろを変えざるを得ない。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
と二人が相顧あいかえりみて立つ。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
半太夫、亀右衛門丞などの人々は、相顧あいかえりみて、またしげしげと、武蔵の姿を見直していたが
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相顧あいかえりみて、莞爾かんじとした。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)