直諫ちょっかん)” の例文
そしてその無謀と時機でないことを痛烈に直諫ちょっかんし、あえて、阿波守の意にさからったので、興たけなわであった鳴門舞なるとまいの夜宴は、殿の激怒と
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
およそ人をいさむるには、人の気質によりて直諫ちょっかん諷諫ふうかんの二つの法あり。知らずんばあるべからず。その心和順わじゅんにて義理明らかなる人ならば直諫ちょっかんすべし。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
急進派の代表者は学生会議の決議文を携えて大隈に直諫ちょっかんしようとして殺気立っていたが、高田は、大隈の入閣問題はなお未定であり、もし入閣するとしても、国会開設の期日と
早稲田大学 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
駒井に対して直諫ちょっかんもしなければならないところなのですが、これがすっかり消滅して
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「手ぬるい手ぬるい。そんな云い方ではだめだ。面をおかして直諫ちょっかんしてこそ、忠臣のことばというものじゃないか」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その人の気質によりていさめの法かわるべし。直諫するこそ本意なれども、正直に強くいさめても聞く人の耳にさからいて受け用いざれば益なし。名君めいくん賢者けんじゃならでは直諫ちょっかんによろしき人はまれなり。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
彼は先刻、殿中で直諫ちょっかんした為、謹慎きんしんを命じられていたのであるが、当番役ではあるし、初めから吟味にも当っていたので、譴責けんせきを解かれて、副使として臨んだのであった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それにきのうの白昼、董相国の輦に向って直諫ちょっかんした二忠臣が、相国の怒りにふれて
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいは、帝に直諫ちょっかん申しあげたあとも、その絶望から将来の必然を千々ちぢに悩んで、もはや一個の力ではいかんともなしがたい苦悶の自己を、ここでしずかに処理しているのかともおもわれる。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)