盛返もりかえ)” の例文
これから兄貴がどう盛返もりかえすか知らんが——長い歴史のある小泉の家は、ず事実にいて、滅びたというものだネ
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
喜兵衛は納得して幸手へ行き、若後家わかごけの入夫となって先夫の子を守育て、傾き掛った身代を首尾よく盛返もりかえした。
合戦のいきおいがまた盛返もりかえしたとの注進もうつろ心に聞きながし、わたくしは薙刀なぎなたつえに北の御階みはしにどうと腰をえたなり、夕刻まではそのまま動けずにおりました。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
敵は、最初のうちは、明かに、狼狽ろうばいの色を見せたが、暫くすると、いきおい盛返もりかえし、手榴弾を、ポンポンとげつけては、機関銃を、一門又一門と、破壊していった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そうして猶三十分も波のまにまに流されていた時、一艘の漁船が帆を上げて、近づいてくるのを見た龍介は、はじめて勇気を盛返もりかえして、「お——い、助けてくれ——」と叫びながら、船の方へ泳いだ。
骸骨島の大冒険 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
合戦のいきおいがまた盛返もりかえしたとの注進もうつろ心に聞きながし、わたくしは薙刀なぎなたつえに北の御階みはしにどうと腰をゑたなり、夕刻まではそのまま動けずにをりました。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)