白蟻しろあり)” の例文
兄貴がお人好しで蛇を拝んだり、白蟻しろありの糞を拝んだりしているからだ。兄貴の眼をさますには、あの蛇からどうかしなくちゃならない。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
猪之は巧みに藤吉の気をひき、じわじわと攻めて、白蟻しろありが柱のしんにくいこむように、藤吉の心の中にくいこんで来た。
その最初の目的に至りてはその組織は白蟻しろあり蜜蜂みつばちの社会よりもなお簡易質朴なる太平洋群島の野蛮人も、政治の機関は博大精緻に発達したる欧米社会においても
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
モトは学校の作法教室だったそうですが、今では壁も瓦も落ちて、ペンペン草が一パイに生えて、柱も階段も白蟻しろありに喰われて、畳が落し穴みたいにブクブクになっております。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
遠く地平線の道を通ってゆくのを見ると、たぶん白蟻しろありという名だったと思うが、小さな胴をして大きいしりを引きずっている虫、あれによく似ていた。ただ速力はきわめて早かった。
内地のような木造家屋は地震には比較的安全だが台湾ではすぐに名物の白蟻しろありに食べられてしまうので、その心配がなくて、しかも熱風防御に最適でその上に金のかからぬといういわゆる土角造トウカツづくりが
災難雑考 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
頽廃たいはいした享楽家も悪臭紛々たる不道徳家も、白蟻しろありの役目を果たしたのでした。ぐらついてる家屋を建て直すにはまずそれをこわさねばなりませんでした。ユダヤ人もその神聖な使命に服従したのです。
海中の白蟻しろありのような、害虫だ。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
白蟻しろあり仔虫しちうこそいたましけれ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)