白蛇はくじゃ)” の例文
白蛇はくじゃのような奸智かんちしぼって、彼は計をめぐらした。最近に妻を寝取ねとられた一人の男がこのくわだてに加わった。シャクが自分にあてこするような話をしたと信じたからである。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
臨終の間際に、あれをと、お前の母親が、柱の隠し穴から取りださせたものを、細い蝋細工ろうざいくみたいな手にふるえながら持った。白蛇はくじゃのどをおさえるようにつかんでいた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、魔者は何時いつまでも増長することはできない、月にかさがかかって、北斗ほくと七星しちせい白蛇はくじゃのような光がかかったのを見たら、翌朝、の出ないうちにここへ来るがよい、きっと思いを
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
さそくのたしなみで前褄まえづまを踏みぐくめた雪なす爪先つまさきが、死んだ蝶のように落ちかかって、帯の糸錦いとにしき薬玉くすだまひるがえると、こぼれた襦袢じゅばん緋桜ひざくらの、こまかうろこのごとく流れるのが、さながら、凄艶せいえん白蛇はくじゃの化身の
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)