白縞しろじま)” の例文
そこには庚申塚こうしんづかが立っていた。禿はげ頭の父親が猫背ねこぜになって歩いて行くのと、茶色の帽子に白縞しろじまはかまをつけた清三の姿とは、長い間野の道に見えていた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
びっくりして見上げましたら、それは古い白縞しろじま単物ひとえに、へんなみののようなものを着た、顔の骨ばって赤い男で、向うもおどろいたように亮二を見おろしていました。
祭の晩 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
甲板の寝椅子ねいすで日記を書いていると、十三四ぐらいの女の子がそっとのぞきに来た。黒んぼの子守こもりがまっかな上着に紺青こんじょう白縞しろじまのはいったはかまを着て二人の子供を遊ばせている。黒い素足のままで。
旅日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
詰襟つめえりの服を着けた、白縞しろじまの袴に透綾すきやの羽織を着たさまざまの教員連が、校庭から門の方へぞろぞろ出て行く。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
翌日、午後一時ごろ、白縞しろじまはかまけて、借りて来た足駄あしだを下げた清三と、なかばはげた、新紬しんつむぎの古ぼけた縞の羽織を着た父親とは、行田の町はずれをつれ立って歩いて行った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)