白粉はくふん)” の例文
いよいよ怪しと存ぜしまま、その白粉はくふんを摘み取り、自宅へ持ち帰り候が、別封をもってお眼にかけし物こそ、その白粉にござ候。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
或る折、呉王孫権がたわむれに、一匹の驢馬ろばを宮苑にひき出させ、驢のおもてに、白粉はくふんを塗らせて、それへ
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
葉をけんして見ると、バナナの方が葉質ようしつがじょうぶで葉裏が白粉はくふんびたように白色はくしょくていしており、そして花穂かすいほう暗赤色あんせきしょくであるから、わがバショウの葉の裏面りめんが緑色で
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
京城けいじょうに一人の兇賊が徘徊した。かれは人家で賊を働いて、その立去たちさるときには必ず白粉はくふんを以て我来也の三字を門や壁に大きく書いてゆく。官でも厳重に捜索するが容易に捕われない。
自来也の話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし間もなくその筋が、一所ひとところ足で蹴散らされ、白粉はくふんが四散しているのを見ると、初めて胸を撫で下ろした。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いずれここにある白粉はくふんも、その大槻が呈供して金一郎様殺しの怪事件に、役立てたものに相違あるまい。毒薬かそれとも他の物か、とまれ尋常なものではあるまい。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)