白璧はくへき)” の例文
然れどもゴンクウルは衆にさきんじて浮世絵に着目したる最初の一人いちにんたり。その著歌麿伝の価値はかくの如き白璧はくへき微瑕びかによりて上下じょうげするものにあらず。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もとより白璧はくへき微瑕びかに過ぎずして昔ながらの花顔玉容は依然として変らざりしかども、それより以後春琴は我が面上の些細ささいなる傷を恥ずること甚しく、常に縮緬ちりめん頭巾ずきんをもって顔をおお
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
倹約は吝嗇りんしょくに傾きやすく文華は淫肆いんしに陥りやすく尚武はとかくおかまをねらひたがるなり。尚武の人は言ふおかまは武士道の弊の一端なり。白璧はくへき微瑕びかなり。
猥褻独問答 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)