発熱ほつねつ)” の例文
旧字:發熱
さて例のとほり人家を避けて、籔陰やぶかげの辻堂を捜し当てた。近辺から枯枝かれえだを集めて来て、おそる/\焚火たきびをしてゐると、瀬田が発熱ほつねつして来た。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
真夏の暑い日ざかりにはたけの雑草を取つてゐて、それから発熱ほつねつしてつひに歿した。それは大正十二年七月すゑで、日本の関東におほ地震のおこる約一ヶ月ばかり前のことである。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
世の秋つらし九月の末、にはかに風が身にしむといふ朝、神田かんだに買出しの荷を我が家までかつぎ入れるとそのまま、発熱ほつねつにつづいて骨病みのいでしやら、三月ごしの今日まで商ひは更なる事
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)