畑打はたう)” の例文
それは、何、あの畑打はたうちのじいさんが、蛇をつかまえに行った時に、貴女あなたはお二階に、と言って、ちょっと御様子をらしただけです。それもただ御気分が悪いとだけ。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
文治ぶんじが九つ、自分が六つのとき、父は兄弟を残して江戸へ立ったのである。父が江戸から帰った後、兄弟の背丈せたけが伸びてからは、二人とも毎朝書物を懐中して畑打はたうちに出た。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
馬士まごにも、荷担夫にかつぎにも、畑打はたうつ人にも、三にんにんぐらいずつ、村一つ越しては川沿かわぞい堤防どてへ出るごとに逢ったですが、みんなただ立停たちどまって、じろじろ見送ったばかり、言葉を懸ける者はなかったです。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ちらほらと畑打はたうっているであろう。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)