甲掛こうがけ)” の例文
あんぺら帽子を阿弥陀あみだかぶり、しま襯衣しゃつ大膚脱おおはだぬぎ、赤い団扇うちわを帯にさして、手甲てっこう甲掛こうがけ厳重に、荷をかついで続くは亭主。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
年齢としごろは廿一二になる商人体あきんどていの人品のいゝ男で、盲縞めくらじまの脚絆甲掛こうがけも旅馴れた様子で、頻りに中食をしておりますと
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
笠に脚絆きゃはん甲掛こうがけ、背に荷物、かいがいしい装い。しかも、それが男ではなくすべて女。数は都合二十名ほど。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
道行みちゆきを着てその裾から、甲斐絹の甲掛こうがけを見せている。武家の娘の旅姿で、歩き方なども上品にしている。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
見ればキリリとして甲掛こうがけ脚絆きゃはんの旅の人。口のき方も道中慣れがしていると見えて、ハキハキしたものです。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
脚絆甲掛こうがけ旅姿、背中に糸経いとだてを背負っている。と、スタスタ行き過ぎた。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さて、右の四五人連れの神楽師の旅装を見ると、笠をかぶり、脚絆きゃはん甲掛こうがけに両がけの荷物、ちょっとお鷹匠たかじょうといったようないでたちですけれども、脇差を一本しか差してはおりません。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一文字笠に二本差した甲掛こうがけ草鞋わらじの旅の武士。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)