田圃でんぽ)” の例文
彼の一家、友交輯睦しゅうぼく、忠誠にして勤克。その父もしくは叔父の如き、公衙こうがより帰れば、ただちにはかまを脱して、田圃でんぽ耕耨こうどうす。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
郊外の林地りんち田圃でんぽに突入する処の、市街ともつかず宿駅しゅくえきともつかず、一種の生活と一種の自然とを配合して一種の光景をていしおる場処を描写することが
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
実にその労と申しては田圃でんぽ悪莠あくゆうを一回芟除さんじょするよりもなおやすきことにて、その器械と申すはわが邦俗ほうぞく新年門戸もんこかけ注連縄しめなわのごとく、羊毛にて製したるものにて
禾花媒助法之説 (新字新仮名) / 津田仙(著)
学校は政談家を生ずるの田圃でんぽなれども、学校の業成るの日において、その成業せいぎょうの人物が社会の人事にあたるに及びては、おのおのその赴くところを異にせざるをえず。
学問の独立 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その本城たりし山吹城やまぶきじやう遺址ゐしは今猶其の東端にありて、田圃でんぽ蕭條のうち仔細にその地形を指點すべく、かたはらまつれる八幡宮の小祠せうしは義仲が初めて元服を加へたるところと傳ふ。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)