生身しょうじん)” の例文
風大ふうだいを揺り落し、その次は火大かだい、その次は水大すいだい、最後に地大ちだいを揺り動かして、かくて夜明けまでには本来の大地に、生身しょうじん心耳しんにをこすりつけて
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
おもうに、因縁の真理に徹し、般若はんにゃの空を、真に味わい得た人こそ、まさしくそれは中道を歩む人です。げに生身しょうじんきた観音さまは、かかる人々のうちから誕生するのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
大仏殿を焼いた平重衡たいらのしげひらは、囚われた後に「生身しょうじんの如来」と言わるる法然房に懺悔して言う、——平家が権力を持ったころには自分はただ「世の望み」にほだされて驕慢の心のみ深かった。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
おのれを生身しょうじん普賢ふげんになぞらえまたあるときはとうと上人しょうにんにさえ礼拝されたという女どものすがたをふたたびこの流れのうえにしばしうたかたの結ばれるが如く浮かべることは出来ないであろうか。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
といったような現象を考え合わせてみると、只今の怪現象も、必ずしも生身しょうじんの変態不動でもなければ、手品つかいのたわむれでもなかったとは言い得られる。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一足入れば歌舞の天女、生身しょうじん菩薩ぼさつ御来迎ごらいごうじゃわい