甘酒屋あまざけや)” の例文
下足札はまだ木のにほひがする程新しい板のおもてに、俗悪な太い字で「雪の十七番」と書いてある。自分はその書体を見ると、何故なぜ両国りやうごくの橋のたもとへ店を出してゐる甘酒屋あまざけやの赤い荷を思ひ出した。
東京小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
幸ひ午近ひるぢかくのことで見渡みわたす川岸に人の往来わうらい杜絶とだえてゐる。長吉ちやうきち出来できるだけ早くめしでもさいでもみん鵜呑うのみにしてしまつた。釣師つりしはいづれも木像のやうに黙つてゐるし、甘酒屋あまざけやぢゝ居眠ゐねむりしてゐる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
甘酒屋あまざけやじじがいつかこの木蔭こかげに赤く塗った荷をおろしていた。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
甘酒屋あまざけやぢゝがいつか木蔭こかげに赤くつたおろしてゐた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)