瓢逸ひょういつ)” の例文
文壇の事にくらい坂本はその雑誌記者で新進作家川田氏に材料を貰い、それを坂本一流の瓢逸ひょういつまた鋭犀えいさいに戯画化して一年近くも連載した。
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
私はこの遊びが好きで、よく父にせがんだものであった。父はふだんは陰気で黙りがちであったが、そんな時には巧まない瓢逸ひょういつなところが見られた。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
藤原の、からだのこなしにはどこか瓢逸ひょういつのところがある。答弁の句切り句切りに、ひょこひょことお辞儀するのだ。
議会見物 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
二人の瓢逸ひょういつの潜水夫は追って二点の・・となり、やがて、蒼い蒼い空の深海の中へ沈んでしまった。
瓢逸ひょういつな態度が消えてしまって、法水は俄然厳粛な調子に変った。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
何処どこ寂然せきぜんとして、瓢逸ひょういつな街路便所や古塀こべいの壁面にいつ誰がって行ったともしれないフラテリニ兄弟の喜劇座のビラなどが、少しめくれたビラじりを風に動かしていたりする。
巴里の秋 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
家にはいま六つになる妹がいますが、父は時にそんな幼いものを相手に、玩具の三味線しゃみせんなどを手にして、おどけて見せることがあります。そんな時の父には、巧まない、瓢逸ひょういつなところが見られます。
わが師への書 (新字新仮名) / 小山清(著)