瓢亭ひょうてい)” の例文
瓢亭ひょうていなどは抜きにして平安神宮から嵯峨さが方面を申訳に一巡したが、今年もまた妙子がいず、四人が大沢の池のほとりの花の下でつつましやかに弁当を開き
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
瓢亭ひょうていだの、西石垣さいせきのちもとだのと、このひとが案内をしてくれたのに対しても、山谷さんや浜町はまちょう、しかるべき料理屋へ、晩のご飯という懐中ふところはその時分なし、今もなし、は、は、は、笑ったって
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いや、何か支度もしてあるようだが、私はこれからあれを連れて瓢亭ひょうていへでも行って来ましょう。ねえ、あなたには別に、異存がお有りじゃあないんでしょう」
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
南禅寺の瓢亭ひょうていで早めに夜食をしたため、これも毎年欠かしたことのない都踊を見物してから帰りに祇園ぎおんの夜桜を見、その晩は麩屋町ふやちょうの旅館に泊って、明くる日嵯峨さがから嵐山あらしやまへ行き
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
南禅寺の瓢亭ひょうていへ行った時にも、一番先に座敷へ通って雪子より上にすわってしまい、おぜんが出ると誰よりも先にはしをつけたので、後で幸子は、こいさんと一緒にお料理屋へ行くのは御免やと
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)