瑤珞ようらく)” の例文
新字:瑶珞
晩秋の美味のうち、鰍のなますに勝るものは少ないと思う。肌の色はだぼ沙魚はぜに似て黝黒あおぐろのものもあれば、薄茶色の肌に瑤珞ようらくの艶をだしたのもある。
姫柚子の讃 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
天井から龕灯がんどうがさがっていた。瑤珞ようらくを持った南蛮製の、ギヤマン細工の巨大な龕灯で、そこからさしている琥珀色の光が部屋全体を輝かせている。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
山内の修復を勧進かんじんしましょう、塔を寄進いたそう、を塗ろう、瑤珞ようらくを飾ろう、法筵ほうえんにはあたうかぎり人をよび、後では世話人たちで田楽を舞おう。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仁和寺にんなじの十四大廈たいかと、四十九院の堂塔伽藍どうとうがらん御室おむろから衣笠山きぬがさやまの峰や谷へかけて瑤珞ようらく青丹あおにの建築美をつらね、時の文化の力は市塵しじんを離れてまたひとつの聚楽じゅらくをふやしてゆくのだった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、その親鸞においてすら、伝記の史料となると、偶像の瑤珞ようらく粉飾ふんしょくとひとしく、余りに常套的な奇蹟や伝説が織りまぜられていて、これの科学的な分解と小説的調整は決して容易なことではない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)