獅噛火鉢しがみひばち)” の例文
そこで、右の三人が、例の獅噛火鉢しがみひばち周囲まわりに取りつくと、合羽を取った大小二人の者は、南条力と、五十嵐甲子雄でありました。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「その人でしょう、屹度。お父さんに似ていません。僕が習っていた頃、先生は獅噛火鉢しがみひばちのような顔をしていました」
ロマンスと縁談 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ちょっと客も途絶とだえたので、番頭と小僧が店頭みせさき獅噛火鉢しがみひばちを抱き合って、何やら他愛たあいもないはなしに笑いあってると、てついた土を踏む跫音が戸外そとに近づいて
荒い格子を覗くまでもなく中は見通しの二た間、形ばかりの古い箪笥たんすが一とさお葛籠つづらが一つ、割れた獅噛火鉢しがみひばち、芯の出た座蒲団など——見る影もない惨憺さんたんたる住居すまいです。
座敷に出てる獅噛火鉢しがみひばちかつぎ出して持って行ったのさえも気が附かなかったという一ツ話が残っている位、その頃はよく有名なお茶屋などの猪口ちょことか銚子袴ちょうしばかまなどをたもとになど忍ばせて行ったもの
唐金からかね獅噛火鉢しがみひばちの縁に両肱りょうひじを置いて、岩永左衛門が阿古屋の琴を聞いている時と同様の姿勢を崩さない当の談敵はなしがたきが、眼前に眼をなくしていることに、ふいと気がついたものだから失笑し
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
月心院の一間で、机竜之助が、頭巾も取り、被布も取払って、真白な木綿の着衣一枚になって、大きな獅噛火鉢しがみひばちの縁に両肱りょうひじを置いて、岩永左衛門が阿古屋あこやの琴を聞くような形をして、黙然としている。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)