わい)” の例文
楢雄は海水着を着た女はわいせつだから見るのもいやだと言つて、一日中部屋に閉ぢこもり、いよいよ人間嫌ひになつたのかと寿枝をやきもきさせた。
六白金星 (新字旧仮名) / 織田作之助(著)
私は近頃発禁になったという「猟奇」だの「でかめろん」だの「赤と黒」だの「りべらる」を読む人々が、健全にして上品なる人士よりもわいセツだとは思わない。
余はベンメイす (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
実にわいせつで、不気味で、ひとは互いにおびえ、あらゆる思想がかんせられ、努力は嘲笑ちょうしょうせられ、幸福は否定せられ、美貌びぼうはけがされ、栄光は引きずりおろされ、所謂「世紀の不安」は
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
灯をともした栄螺さざえだの、かぶとを着た鯛だの、少しわいせつなたこだのが居る中に、黄螺の女房といってね、くるくると巻いたすそを貝から長々といて、青い衣服きもの脱出ぬけだした円髷まるまげが乱れかかって、その癖
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
若い衆達からわいなこと囁かれるのをよいことに