独歩どっぽ)” の例文
だが、その短かい間の人気は後の紅葉よりも樗牛ちょぎゅうよりも独歩どっぽよりも漱石そうせきよりも、あるいは今の倉田くらたよりも武者むしゃよりも花々しかった。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
即ち人の知る如く、初期に於ける我が国の自然主義は、独歩どっぽ二葉亭ふたばてい藤村とうそん啄木たくぼく等によって代表され、詩的精神の極めて強調されたものであった。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
咽喉のどが悪いとて療治をして居ると云うが如何だろう、と好奇心も手伝うて、午後独歩どっぽ荻窪おぎくぼ停車場すてえしょんさして出かける。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その頃の氏の愛読書は、三馬さんば緑雨りょくうのものが主で、その独歩どっぽとか漱石そうせき氏とかのものも読んで居た様です。
学校からの帰途には、路傍の尾花おばなに夕日が力弱くさして、たでの花の白い小川に色ある雲がうつった。かれは独歩どっぽの「むさし野」の印象をさらに新しく胸に感ぜざるを得なかった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「ホウメイ? そんな人がいたのですか? 独歩どっぽの間違いじゃありません?」
メフィスト (新字新仮名) / 小山清(著)
八年前余は独歩どっぽ嵐山から高尾に来た時、時雨しぐれに降られて、梅が畑の唯有とある百姓家にけ込んでみのを借りた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)