独合点ひとりがてん)” の例文
彼はその妻の常にたのしまざるゆゑつゆさとらず、始より唯その色を見て、打沈うちしづみたる生得うまれ独合点ひとりがてんして多く問はざるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
相生町の老女の家を辞して出でた山崎譲は、両国橋を渡りながら腕を組んで、独合点ひとりがてんをして相生町の方を振返りました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
自分の独合点ひとりがてんの興奮を、相手が気付かなかつたかと思ふと、恥しさで地の中へでも隠れたいやうな気がした。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
真紀 なに? 独合点ひとりがてんじゃわからない。
みごとな女 (新字新仮名) / 森本薫(著)
白萩 お前はあむまり独合点ひとりがてん……
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
独合点ひとりがてんをして納まります。つうがってみたい人には往々、なんでもないことを何かであるように、我れと深入りをした解釈を下して納まる人があることであります。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
自分だけが、興奮したことが、恥しくてたまらなかった。自分の独合点ひとりがてんの興奮を、相手が気付かなかったかと思うと、恥しさで地の中へでも隠れたいような気がした。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
弁信さん——だけでは茂太郎の独合点ひとりがてんで、兵馬にはのみこめない。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)