犬公方いぬくぼう)” の例文
徳川五代綱吉という人も犬公方いぬくぼうといわれたくらいの犬好きで、多いときには四万八千匹飼っていたというから高時より役者が一枚上である。
(新字新仮名) / 三遊亭金馬(著)
犬公方いぬくぼうと民間では別名のある五代将軍の綱吉は、ひのきの流れる湯の床に、女性みたいな肌をして、糠袋ぬかぶくろをあてていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
犬公方いぬくぼう綽名あだなをつけられている時の将軍綱吉つなよしの逆上は愈々その極点に達し、妖僧護持院隆光ごうじいんりゅうこうの言語道断な献言によって発令された、ご存じのあの軽蔑すべき生類憐しょうるいあわれみの令が
我邦における犬公方いぬくぼうの名ある疎胆そたん雄略の綱吉が将軍職にきたる明年(天和二年、一千六百八十二年)におよんでは、彼得ペートル大帝位にき、遠馭えんぎょ長駕、経略けいりゃくの猛志さらに百尺ひゃくしゃく竿頭かんとう一歩を進め
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
(ひとつ、お犬小屋を、ひッくり返すような目にあわせて、犬公方いぬくぼうや犬役人どもに、泡をふかせてやろうじゃねえか)
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
現将軍の名が綱吉ということは知らない百姓の子でも「犬公方いぬくぼう」といえば何だか知っている。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)