牽強附会けんきょうふかい)” の例文
牽強附会けんきょうふかいの説を加えてこの句を神聖不可侵のものとするのは論外として、これ以上に複雑な解釈のしようはないのである。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
それに何らかの恣な解釈や牽強附会けんきょうふかいな説明やを加える場合もあるが、それにしてもこの根本の考に変りはない。
もとよりその中には若干の牽強附会けんきょうふかい、土地をぜひとも旧蹟と見たいという念慮もまじっていないとは限らぬが、とにかくに地名の残ろうとする力は相応に強い。
和州地名談 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それも主客円融ということは渾然として境涯的のものであって、写生は畢寛ひっきょう写生に過ぎないからね。実感に即する抒情までも写生とするのは、少々牽強附会けんきょうふかいじゃないかな。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
掲げまた一休禅師沢庵和尚たくあんおしょうらの道歌どうかをもまじへたれどやや牽強附会けんきょうふかいきらいあり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
これらの論点を部分的にみれば、なるほどそういうこともいえないこともないが、しかし多くは特殊の例外的な場合を取り上げて、それをことさらに一般化したという牽強附会けんきょうふかいの感をまぬがれない。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
牽強附会けんきょうふかいと云われるかも知れないが、地勢は郷里に似ていないこともない。そして、その相似の幻想のなかに、彼らの家中を配置し、彼らによって作られる新たな村を想像していたのであろう。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
昔から易の筮法についてはいろいろな説がおこなわれているが、そのなかで真によるところの出来るものは、本筮、中筮、略筮の三種だけで、他のものはみな牽強附会けんきょうふかいの妄説といっても過言じゃない。
馬車 (新字新仮名) / 横光利一(著)
世には山師やまし流の医者も多けれどただ金まうけのためとばかりにてその方法の無効無害なるはなほじょすべし、日本人は牛肉を食ふに及ばずなど言ふ牽強附会けんきょうふかいの説をつくりちよつと旧弊家丁髷ちょんまげ連を籠絡ろうらく
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
これは鍔先つばさき三尺八寸という大太刀で、熊本の武蔵顕彰会本の写真にまで出ているが、その武蔵との縁故や由来はともかくとして、吉岡伝七郎をこれで斬ったという説はすこし牽強附会けんきょうふかいに過ぎると思う。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)