焼蛤やきはまぐり)” の例文
さて……悦びのあまり名物の焼蛤やきはまぐりに酒みかわして、……と本文ほんもんにあるところさ、旅籠屋はたごやちゃくの前に、停車場前の茶店か何かで、一本傾けて参ろうかな。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
K・S氏はそこで出た料理の中で、焼蛤やきはまぐりの皿に紅梅のつぼみが添えてあったことや、青竹のくしに差した田楽の豆腐に塗ってある味噌みそに木の芽がにおったことをおもい出して話した。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
竜之助は、渡しにかかる前に食事をしておこうと思って、とある焼蛤やきはまぐりの店先に立寄りました。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
焼蛤やきはまぐりしおのかおりに、龍宮城りゅうぐうじょう蜃気楼しんきろうがたつといわれる那古なこうらも、今年は、焼けしずんだ兵船の船板ふないたや、軍兵ぐんぴょうのかばねや、あまたの矢やたてが、洪水こうずいのあとのように浮いて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「看板は湯どうふでも、料理、焼蛤やきはまぐり、ちょっと飲めるようになっております」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「姉さん、ここは約束通り、焼蛤やきはまぐりが名物だの。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)