ひど)” の例文
ハイ有り難うござります、彼めが幼少ちひさいときはひど虫持むしもちで苦労をさせられましたも大抵ではござりませぬ、漸く中山の鬼子母神様の御利益で満足には育ちましたが
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
そして風がひどいために常よりは早く雨戸を閉め切って、戸と戸の溝に通じた穴に釘を差し込んだ。その要慎ようじんは、この寂しい町へ住むようになった彼女の盗賊に対する心配のためであった。
不幸 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
その時に後でひどい熱病をわずらって死ぬ程のくるしみをいたしました。農家の女の労苦つらさはどれ程でしょう——麦刈——田の草取、それから思えば荒井様の御奉公は楽すぎて、毎日遊んで暮すようなものでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
疵といふて別にあるでもなし頭の顱骨さらを打破つた訳でもなければ、整骨医師ほねつぎいしやの先刻云ふには、ひどく逆上したところを滅茶〻〻に撲たれたため一時は気絶までも為たれ、保証うけあひ大したことは無い由
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)