炭竈すみがま)” の例文
それから本館を出て赤塗の古風な門をくぐって、農舎の方へ行って見ると、そこで自家用の木炭製造の炭竈すみがまが調子よく煙を吐いていた。
鶴生つりう(福島県西白河郡西郷村大字)の奥なる高助たかすけと云ふ所の山にては炭竈すみがまに宿する者、時としては鬼魅きみの怪を聴くことあり。其怪を伐木坊きりきぼう又は小豆磨あずきとぎと謂ふ。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
谷底へついて見ると紐のちぎれさうな脚袢きやはんを穿いた若者が炭竈すみがまの側でかしの大きなほたくさびを打ち込んで割つて居るのであつた。お秋さんが背負子しよひこといふもので榾を背負つてれた谷の窪みを降りて來た。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
炭竈すみがまをぬりて冬待つ嵐かな 吏明
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
しかしこれから奥地の山々には、今でもずいぶんと遠国から、炭竈すみがまに入って永くかせいでいる者が多い。言語風采の普通でないばかりに、一括してこれを山人に算入するのは人類学でない。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
炭竈すみがま両膝もろひざだきて髭男 散木
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)